北海道旅行中の遭難(台風&地震)記録(4)― 脱出に向け移動

避難所で朝を迎えた

9月7日(金)自主避難所での朝、七時くらいに目が覚めると電気が復旧していて、テレビもつけられていた。すでに家に戻った方々もいるらしい。

眠れなかったということはないが、畳と毛布の上に寝たので体の節々が痛い。顔を洗いカンパンを少し食べた。歯を磨きたかったが、歯ブラシを持っていなかった。

コンセントが空いていたので、スマホ・タブレット・ガラケーを順次充電させてもらった。
テレビによると、3割程度の家庭に電気がいきわたっているらしい。期待しすぎるのはよくないが、やはり嬉しい。

とりあえずラインを送ろうと思った。なぜかうまく送れない。スマホの画面を見ると4Gの電波は届いておらず、3Gだけ受信できているようだ。携帯電話システムのバックアップ電源も底をつきそうだということだろうか?あるいはアクセス制限がかかっているのだろうか? とにかく、タブレッドからFBメッセンジャーを使い家族にメッセージを送った。

移動を決意

その後、市役所の担当の人から、“一度家に戻って避難の必要有無を判断してください”というような指示があった。全員必要ないとなれば、避難所は閉鎖するとの事。

旅行者である自分は、当然近くに戻る家があるわけではない。決断の時だ。

結局、もうちょっと大きな駅のある街に移動することにした。その街で、様子を見ながら陸・海・空路どう脱出するかを決めようと考えた。退去のお礼を述べたおり、目的の街の避難所の場所も教えていただいた。

雨は降っていない。外へ出て駅前のとおりにでると、信号が機能していた。と、おもったら、1つ先の信号は相変わらず消灯だ。駅へ向かう途中コンビニで歯ブラシと飲み物を買った。電気は来ていたが、電子決済はできないようだ。駅には、相変わらず電気はついてなかった。トイレも電気が来ていないため使えない。

タクシーで移動

在来線の特急はすでに終日運休、ローカル線もさらに遅れる事は明白だった。移動手段としてバスを考えてバス停にいったら、3人ベンチに座っていた。聞くとバスが全然来ていないとの事。バス会社の電話番号を調べかけてみたが、おそらく交換機か何かが起動されていないせいか通じない。

先にバスを待っていたご高齢の方はタクシーを捕まえて移動され、他の人は家に戻っていった。

その後、自分もタクシーを使うことを決め移動した。そのおり、タクシーの運転手さんから、昨日フェリー乗り場までお客さんを載せていったことを聞いた。フェリーが正解だった。しかし、ここでも今日中にフェリーという決断を下せなかった。

移動先の駅は電気が来ており、エスカレータも動いていた。(後に停電のため停止)駅近の食堂も営業していた。

ホテルにもう一泊することを決意

どんな方法で脱出するにしても、できればホテルで体調を整えたかった。駅前は電気が復旧している。近くの新しく建設されたホテルに電話を掛けたら、7500円で一泊できる。但し、朝食は用意できるかどうか保障できないとの事であった。いったん電話を切って考えたが、余震も心配だし、すぐにかけなおし予約した。

ここにきて、やっとまともな思考パターンに戻ったのかもしれない。その後、駅前のラーメン屋さんで二日ぶりの“まともな”食事をとった。

Check in迄の時間に荷物をホテルにあずけ、街の様子を調べた。駅から徒歩5分くらいの場所では、停電は続いていた。目指した郵便局もあいていない。駅の反対側に回ったら、駅近の郵便局が空いていた。明日の脱出方法次第では、現金を用意する必要があるが、ここで身分証明書を提示して現金を引き落とせる。(可能という情報をきいていた。念の為、妻に口座番号も調べてもらっていた)。

飲食店も確認したが、新鮮な野菜、魚・肉類は期待できるところはなかった。コンビニにも冷蔵が必要な惣菜がまったくなかった。また、余震のせいだろうか?冷蔵庫の中の飲料の瓶が倒れていた。結局、アルコール飲料と炭酸水、漫画を購入してホテルにCheck inした。

脱出計画を練る

ホテルでは、まず、湯船にどっぷりつかった。疲れが取れて落ち着いたような気がする。少し寝て、夕方になった。

テレビで、電気の復旧が進みつつある事を知ったが、同時に節電の協力も要請されていた。あまりテレビもみていられない。外の蕎麦屋(富士そばみたいなやつ)で、ミニ天丼セットを食べた。その足で駅へ行き、明日の運行状況を聞いた。北海道新幹線は順調らしいが、特急は明日も全休らしい。

かなりがっかりした。とにかくホテルに戻って策を練り直すことにした。ホテルに連泊で、列車復旧を待つという方法もあったが(結果的にはこれでも一日遅れで帰れた)、家族も心配するだろうし、非常時に、手伝いもできない他所ものが被災地にとどまることはよくない。疲れも取れている。明日行動を起こすことを決心した。

考えたプランは、単純だが優先順に

Plan A-1 レンタカーで函館までそして新幹線

Plan A-2 タクシーで函館までそして新幹線

Plan B フェリーで宮古までそしてJR乗り継ぎ盛岡から新幹線 (この場合2日がかり)

Plan C タクシーで千歳まで、そして空路(何日かかるかわからず)

念の為、ネットで予約できないかを調べたが、もちろんダメ。また、電話不通という場合もあるので、営業時間以外だが、電話をかけてみた。フェリーに関しては電話が通じなかったが、代わりの営業所で電話を掛けられることを確認した(もちろん営業時間外とのメッセージをうけただけだが)。

すべての関連事業所の電話番号とアクションをメモし、明日きちんと行動できるよう、ハイボールを飲んで早めに眠りについた。

(続く)

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投稿者: 楽庵

白け世代とバブル世代に挟まれた新人類世代の1人です。 2018年に定年を待ちきれず、サラリーマン生活に終止符を打ち隠居生活を始めました。 東京の片隅でのんびりと生活しています。

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