リタイア民の国民健康保険料(税)は住居地によって大きく変わるのか?

リタイア月にもよりますが、リタイア2年目の途中で、国民健康保険料の試算額が減少するため、計算の上、当初任意継続を選択していた人でも国民健康保険へ切り替える人も増えてくると思います。(私もそうでした。)

国民健康保険料は、居住地によって大きく異なると聞いた事があります。

そこで、リタイア定常状態での国民健康保険料がどの程度違うのかを調べてみました。

国民健康保険料の構成

まずは、国民健康保険料の構成ですが、

国民健康保険料 = (1)基礎賦課額(医療分) + (2)後期高齢者支援金等賦課額(支援金分) + (3) 介護納付金賦課額(介護分)

となります。(3)の介護分は、40歳以上65歳未満の加入者のみにかかってきます。

さらに(1)~(3)各々に対して

  • 所得割:その世帯の所得に基づく算定基準額x料率
  • 均等割り:加入者数x均等割り額
  • 平等割り(世帯割り):世帯あたりで定額
  • 資産割:世帯の固定資産税額x料率

と細分化されます。料率や規程額は自治体によって異なります。加えて、平等割り、資産割りは適用していない自治体もあります。都市部では資産割を適用しない傾向があり、東京都区部では平等割りもありません。

2倍の差もある!? リタイア後はどうか?

国民健康保険料(税)の徴収額における市区町村ランキング (注2019年)

というブログ記事を拝見したところ、単身で年収400万円、介護未加入の場合に支払う国民保険料は、最大の広島市と最安の静岡県富士市で2倍も違うとの事でした。

記事は勤労者世帯の試算なので、リタイア後で比較するために、広島市、富士市、東京都世田谷区において、リタイア定常状態での国民健康保険料を、比較してみました。

モデルは、年齢40~64歳(介護分の支払いあり)で独身および2人世帯、参考までに40歳未満独身も調べてみました。

結果は下表のとおりです。

結論:それほど差はないし逆転するケースも

参照した記事を見ると、負担額は、広島市>世田谷区>富士市の順でしたが、所得がほとんどない(7割軽減措置が適用になる)場合を固定資産なしの条件で比べると

独身世帯: 広島市 > 富士市 > 世田谷区 

2人世帯: 世田谷区 > 富士市 >  広島市

となり必ずしも広島が高いという事ではありません。

また金額についても絶対値が小さい上に、差は20%以内です。結論としては、リタイア後はどこに住むにも国民健康保険料の負担額はそれほど大きくは変わらないのではないかという事になります。

少なくとも、居住地の選択には影響はしないのではという事にはなります。

追加考察1:固定資産割の有無は割と大きい

比較対象の3自治体のうち、富士市は、固定資産割を導入しているので、持ち家などの固定資産を持っていれば所得に関係なく負担が増えます。

固定資産税が仮に20万円であれば、16,000円負担額が増える事になります。これは、リタイア後の比較だけでなく、現役世代のモデルでも同じです。

そう考えると勤労者世帯であっても、富士市が極端に負担額が低いとは言えないのかもしれません。

ちなみに、富士市より小さい自治体ではどうなのかという事で、埼玉県上里町というところを同様に調べてみました。

ここでは、均等割りや平等割りのポーションが小さく、資産割のポーションが大きい為、借家に住むとすれば独身世帯で富士市よりも8,000円以上安くなりますが、持ち家だと逆転する可能性があります。

追加考察2:将来の負担増は覚悟した方がいいのかも

先の最大7割までの均等割り、平等割りの軽減に関しては、金融資産、固定資産の有無などは、現在のところ加味されていません(田舎の方では資産割として、別途徴収されるところもありますが)。

一方で、自分の知る限りでは、例えば生活保護やハロワの職業訓練時の給付などには加味されたりします。金融資産税というきな臭い議論がある事もあり、これらは、軽減除外の対象になる可能性があると考えています。

また、証券の譲渡益、配当益などは基本分離課税であり、総合課税にしても、国民健康保険料算定の参照先となる住民税を“住民税として申告せず”を選択すれば、10%前後の所得割の算定対象から外れる上、均等割り、平等割りの最大7割の軽減の恩恵にも寄与します。

これらは、取れるところからはとりたいという国・自治体側の思惑と、勤労所得者の不公平感の是正とも重なる為、将来的には、保険料の算定対象になるかもしれないと考えています。

自分自身は、もちろん合法的に負担軽減はフルに活用しますが、将来的には負担増はありうると考えて生活設計しています。

参照

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投稿者: 楽庵

白け世代とバブル世代に挟まれた新人類世代の1人です。 2018年に定年を待ちきれず、サラリーマン生活に終止符を打ち隠居生活を始めました。 東京の片隅でのんびりと生活しています。